『私は憤りを感じている』

私は憤りを感じている。諸君、火星に移住が始まるらしいねと始め、スペースX社の名前を拝借した天才イーロン・マスクの計画、一般公募で日本人2名がその中に選ばれているとの話に発展したあたりで、それはオカルトではない?本当の話?などの疑心暗鬼への展開は予想通り、憤りは感じない。検索してもらえば、真相はまたたくまに明らかになり事実だと認識した後、エンターテイメントとして一段の盛り上がりを見せるわけで話し手とすれば良いスパイスなのである。そこから月の裏側の話への展開は鉄板。そして宇宙で初めて大衆に認定される絵は、いかなるものであろうか?絵描きである私はその想像だけで今晩の酒の肴は事足りてしまうと言い。重力をテーマにした絵を描くといった弟子に、重力を発生させる絵を描けと叱咤し、非常に精密に作られたコマ(ジャイロ)は、これが左回りをしている時には重さは変わらない、右回りにすると回転速度があがるにつれて軽くなるという反重力のシステムを定義している東北大の早坂秀雄博士(1989年)の話へ持ち込めば朝までコースであろう。我々には八角形が見える!と鉛筆のカーボンに重力変化の期待を寄せ未来の栄光を夢見る。これはオカルトではない。これから私たちが進む道であり、エンターテイメントとしてこの科学の話よりも面白い絵を我々はこの世界に提供できるのかという話なのだが、このあたりから旗色が悪くなる。その絵とはなんであろうか?無色無形の温度のみの彫刻作品を想像してもそれは絵ではない。デジタルでアナログから解放された映像はやはり絵ではない。1000年先の絵のカタチを考察する集団と銘打ちながら、数年先の想像もとろけたオイルのようであるから情けはない。どのようなやり方でも、大気圏のような壁、異世界への挑戦を続ける作家の方々は心強い。壁を突破しても死しかない。どのように死を迎えるかという問いは間違っているが、最後は死にたいとみんなが口々にしはじめたら今日のお開きは近い。習慣的に私は最後まで店を出ない。みんなが帰ったあと酒場に残る余熱。
オリンピックを2年後に備えた日本を冷めて見る自分に憤りを感じる。

20180628 ∞