『澱むということ』

茶碗の端に蛇口から止めどなく水が流れ落ちる。水は勢いが過ぎて反対側の端から外に出て茶碗に溜まることはない。茶碗の中を覗き込めば、この状態は少し不思議だし、流れは美しいので、某としばらく眺めていられる面白さがある。其の時、ちょっとした出来心で落ちる流れに指を触れてみれば、ほんの少しだけ水の勢いが堕ちただけで、先ほど見た美しい流れは屑へ。あれよあれよと茶碗に水が溜まり、隣りに並ぶ茶碗と同じになり、今では何がこの茶碗に特別心を惹かれていたのかも思い出せない。

20170501 ∞