『your mind against the whole world』

your mind against the whole world
直訳すると「 あなたの意志はすべての世界と接触している 」という意味。
「 against 」には「 反抗している 」という意味もあり、
ちょっと皮肉っぽく「君は世界に通用するね」と、言っている言葉なのだとか。
それ以来、高橋個展のスタッフTシャツにも使用している大好きな言葉です。


高橋信雅は、東京板橋の古い木造一軒家のアトリエで毎日絵を描いています。
画法は「 ミクストメディア* 」というもので、日々「 マチエル* 」を研究しています。
現在、日本で「絵を描く」というと、感覚的なものが主体となってしまいますが、高橋は哲学的な研究、蓄積、発表というスタイルをとっています。

*ミクストメディア = さまざまな素材を混合して用いる手法。
*マチエル = 絵の具の混ざり具合等に出る症状、模様。絵を描くための素材となる。


そして、高橋制作の根源は「狭間」と呼ばれる世界の表現です。
これは、妖精や妖怪、オバケ等の世界なのですが、おちゃらけずに読んでいただけると嬉しいです。

私は小さい頃からおかしな症状を持っています。
それは日常でも夢を見るというもので、例えると、二つの世界を透かせて重ねたように見えるのです。
その比率は常に変化していて、普段は「現実9/夢1」の割合ですが、ひとたび面白い物を見てしまうと「現実1/夢9」になってしまい、その時現実ではどうなっているかと、その場いた人に聞くと、ぼーと一点を見つめて惚けているそうです。

何を言いたいかというと、高橋はリアルに二つの世界を共有しています。
そうなることで、皆より楽なのです。
これはとても世界を客観視できるということ。
現実は皆厳しいというけれど、夢の世界とくらべると楽です。
なぜなら、現実にはルールがあって作ったら確実にそこにあるし、評価も下されます。
夢の世界では作っても興味が違うところにいってしまったら消えてしまう。
無(0)になっちゃう!

 だから、高橋は強さを作品に求めます。
 夢の世界で消えないものとはずっと目が離せないものでしかないからです。
 現実でもそうでないと言い切れません。
 夢の世界でも通用する作品を作ってみたい。


だから、この現実では自分が動きさえすれば、何でもできる!
と、いうことを強く言いたい。

二つの世界を跨ぎ繋ぐのは、私の絵。

"世界は1つじゃない「 your mind against the whole world 」"

2005 ∞